記憶術の基本
記憶術は基本的に4つのものから成り立ちます。
- イメージ
- 変換表
- 地図
- 定期的復習
では順番に説明していきます。
記憶術ではこれが非常に重要です。
覚えるべきことをビジュアルなイメージに置き換えるのです。例えば買い物リストを覚える際、言葉の羅列ではなく、イメージに置き換えるのです。それもなるべく奇想天外で記憶に残りやすい形にします。
仮にチーズ、牛乳、パン、ハムを覚えるとしたら、牛乳の湖にパンの船が浮かんでいて、その中に豚が寝転がってチーズを食べてるところを想像します。
この時、豚=ハムです。こうすると忘れ難くなりませんか?
特に数字を覚えるときに威力を発揮します。10桁の番号を覚えるとして、予め0から99までの数字に何らかのイメージを割り振っておきます。
例えば、0ならレレレのおじさん、01ならキカイダーゼロワン(笑)、02なら鬼、03ならカールおじさん、04ならおしん、などなど。それを並べてストーリーを作るのです。
仮に0102030405の10桁を覚えなければならないとして、例えばこんな話を作ります。
「レレレのおじさんがキカイダーゼロワンをホウキで叩いて、ひっくり返ったキカイダーゼロワンが手に持っていた豆が飛び散り赤鬼にかかります。赤鬼が驚いて逃げ出した先にカールおじさんが立ちはだかり、後ろにいるオシンを守っていました。」
こうすると後からストーリーを思い出せば、自然に数字の羅列が頭に蘇ってくると言うわけです。もちろん年表を覚えるときにも使えます。また、トランプ記憶ではそれぞれのカードにいろいろとイメージを結びつけて覚えるそうです。世界選手権クラスになると、さらに2まいの組み合わせに対してイメージを結びつけることでスピードを上げているそうです。
更に複雑なことや、量を覚えようとするとこの地図が必要になります。イメージの所では4つ覚えましたが、地図を使うともっと多くの事を覚えられます。一番ポピュラーなのは自分の体です。頭から順番に、頭1、額2、目3、鼻4,口5、アゴ6、耳7、・・・とするわけです。
先ほどの買い物リストで試すと、まず自分の頭にチーズが載っているのを想像します。普通に乗せるだけだと面白く無いので、なるべく記憶に残りやすいように例えばピザのようにとろけさせます。それも熱いことにしましょう!溶けたチーズが頭にかかって熱いのをイメージして下さい。次に、額に牛乳をイメージするのですが、牛乳がつくだけでは印象に残りにくいので、割れた牛乳瓶を額に突き刺しましょう。痛いです。血がダラダラ流れてきます。次はパンを目にくっつけます。目でパンを食べるとか、目にパンが入るのは印象が薄いので、パンをくり抜いてメガネにでもしましょうか。パンのメガネをイメージして下さい。次はハムですね。鼻の穴に突っ込みましょう。両方の鼻の穴にスライスしたハムを丸めて突っ込みましょう。まるでお髭のようです。とまあ、こんな具合で続けるのです。
今回は自分の体の一部を使いましたが、友人の体も使えます。また、部屋の中の配置を入り口からたどっていく方法もポピュラーです。記憶術の達人となるとこの地図をたくさん持っています。例えば、史上最年少のわずか12歳でグランドマスターを取得したクリスチアーネ・シュテンガー女史(左写真)は1つあたり50以上の地図を700以上持っているそうです。(グランド・マスターとはトランプを3分以内に記憶する、1000個の2進数を1時間以内に暗記する、などの課題を全てクリアしたものに送られる称号)
実はこの事に触れている記憶術書はあまりありませが、あえて強調しておきたいと思います。おそらく一般の記憶術の本でこれが触れられてないのは、特に復習しなくてもかなり長期間覚えていられることと、海外の記憶術の本に多いのですが、彼らのほとんどが記憶術大会に的を絞っているため長期記憶の必要がないからだと思います。競技ではせいぜい1時間覚えていれば十分です。なので如何に短期間にしっかり覚えて、すぐに思い出せるかが重要なわけです。何かを記憶するとき繰り返しは基本ですが、記憶術といえども長期大量をしなければならないのであれば、定期的な繰り返し復習が必要です。特に受験や資格試験で使うとなれば、短時間で覚えること以上に忘れないことが大切なわけで、定期的な反復学習は欠かせません。昔、円周率で世界一になった友寄英哲氏も著書の中で、「復習のタイミングを逃すな」と言っています。
(数字と文章3秒間記憶術 友寄英哲著)
これが基本ですが、術者によっていろいろと応用の仕方が異なるわけです。